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わずか数cmに詰まった小宇宙。壮大な仕掛けが詰まった腕時計

超複雑機構を持つ時計は、小さな宇宙とさえ称えられる。それらは現代で、技術革新と結びつき、飛躍的に進化を遂げる。ただしその根底にあるのは、人間の創造性や探求心。だからこそ、魅力も無限に広がるのだ。

LOUIS VUITTON
ルイ・ヴィトン/タンブール ムーン ミステリューズ フライング トゥールビヨン
洒脱と技術が織りなす、新たなミステリー


Ptケース、45mm径、手巻き。3275万円[参考価格]/ルイ・ヴィトン 0120-00-1854
時分針が宙に浮いているように見えるミステリアスムーブメントの原理は意外と古く、19世紀に考案された。

それは、透明なクリスタルディスクに付けられた指針がディスクの回転によって動き続け、まるで何も介在していないかのように見る者を錯覚させたのだ。

この機構はさらに進化を遂げ、ムーブメントまでも透明な文字盤に浮かび上がらせる。

今作においては、2重になった香箱、針を動かすセンターホイール、フライングトゥールビヨンのキャリッジが縦一列に並び、ダイナミックに動く様子は、まさに圧巻だ。

トゥールビヨンキャリッジの裏側には、持ち主のイニシャルを入れることが可能。それも、メゾンらしい洒脱だ。

A. LANGE & SÖHNE
A.ランゲ&ゾーネ/トリプルスプリット
複雑に進化を遂げたクロノグラフ



K18WGケース、43.2mm径、自動巻き。13万9000ユーロ[参考価格]/A.ランゲ&ゾーネ 03-4461-8080
クロノグラフは、進み続ける時刻と、任意で経過時間を計測するふたつの機能を併せ持つ。その上位に当たる機構がスプリットセコンドと呼ばれる。

これはクロノグラフの積算秒針に針をもう1本追加し、通常は2重になって進むが、操作によって重なった1本を止めることができるもの。

つまり、ラップタイムや2つの時間差を計ることができ、リセットすれば止まった針は動き続ける針に再び追いつく。

こちらの新作は、この機能を秒積算だけでなく、分積算と時積算それぞれに設けた、世界初の機械式トリプルラトラパントだ。計測タイムは従来の最長12時間までの積算と比較を実現した。


ZENITH
ゼニス/デファイ ゼロG
脱進機を水平に保ち、重力の影響を抑える


チタンケース、44mm径、手巻き。1070万円/ゼニス 03-5524-6420
毎時3万6000振動のハイビートクロノグラフの世界を切り拓いたゼニスは、究極の精度を追求すべく、2010年に独創的な脱進機構を開発した。

「グラヴィティコントロール」と呼ばれるジャイロスコープモジュールは、揺れる船内でも精度を維持するマリンクロノメーターのように、調速と脱進の機構を常に水平の位置に保つことで、重力が歩度に与える影響を抑える。

新作ではこれを見直し、機構のボリュームを当初の30%までサイズダウン。従来は前後2枚のサファイアクリスタルを球状に膨らませて収納したが、フラットに収まるようになった。デファイのデザインを纏い、エル・プリメロの新世紀を宣言するのだ。

ROGER DUBUIS
ロジェ・デュブイ/エクスカリバー アヴェンタドール S
スーパーカーとのコラボはトップギアに


世界限定88本。カーボンケース、45mm径、手巻き。2310万円/ロジェ・デュブイ 03-4461-8040
昨年リリースされたピレリに続いて、ランボルギーニのモータースポーツ部門であるスクアドラ・コルセとのコラボレーションを発表。ロジェ・デュブイはモータースポーツとのより親密な関係を築く。

そのシンボルモデルは、それぞれ45度に傾斜させたダブルスプリングバランスをディファレンシャルギアでつなげた。

スケルトン文字盤を通して覗くムーブメントは、エンジンヘッドカバーを思わせるデザインを採用するなど、クルマの持つ世界観と迫力を再現している。

また、ケースやベゼルにはランボルギーニの車体に使われるのと同様のC-SMCカーボンを採用し、機能とイメージを共有する。


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ファーブル・ルーバのインフォーマルウォッチ「スカイチーフデイト」に40mmモデルが登場

実用性と美しさを兼ね備えた汎用性の高いインフォーマルウォッチ
 ファーブル・ルーバは、ケース径43mmで展開していた「スカイチーフデイト」をダウンサイジングした、ケース径40mmの「スカイチーフデイト40」を発売することを発表した。



グレーダイアルにカーフスキンストラップ仕様。サンレイ仕上げのグレーダイアルがきらびやかな印象であり、インフォーマルウォッチとしての気品をより感じさせる。自動巻き(Cal.ETA2824-2ベース)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(直径40mm)。10気圧防水。22万円(税別)。
 ファーブル・ルーバといえば、長い歴史と優れた技術も持つブランドだ。スーパーコピー時計腕時計にアナログ式の高度計や水深計を搭載したモデルを積極的に投入し、またかつて、幾多の時計ブランドが精度を競い合ったニューシャテル天文台クロノメーター・コンクール(スイス)においては、1960年代に複数回入賞を果たしている。



ブラックダイアルにカーフスキンストラップ仕様。ブラウンのストラップは、表面を少し荒くしたヴィンテージの風合いを持つ。自動巻き(Cal.ETA2824-2ベース)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(直径40mm)。10気圧防水。22万円(税別)。
 そんなファーブル・ルーバ、実は日本人ともなじみが深いブランドでもある。75年に世界で初めて女性としてエベレストの登頂に成功した田部井淳子氏が、エベレスト登頂時に同社の時計を着けていたのだ。

「スカイチーフ」は、そんなファーブル・ルーバのインフォーマルウォッチとも言える存在だ。56年に発表された「シーチーフ」を原点に持つ同モデルは、シーチーフの「フォーマルなデザインと実用性の両立」という哲学を現代的に解釈したものである。



1970年代の広告。現行の「スカイチーフ」にも通じる、近未来的でありながら実用性に基づくデザインが見て取れる。
 その一例となるのが、耐久性を重視して、ソリッドバックの裏蓋を採用している点だ。ロレックス スーパーコピームーブメントを鑑賞することができるシースルーバックは今や定番だが、ロレックスをはじめとする実用性を重視したブランドではソリッドバックを好んで採用する傾向がある。更に、ケースバックに刻印されたロゴは、常にケースに対して真っすぐになるように設計されている。

 また、ベースムーブメントにCal.ETA2824-2を使用していることからも実用時計らしさは垣間見える。長期間さまざまなブランドに採用され、その信頼性を証明してきたCal.ETA2824-2は心強い存在だ。修理できる時計技師も多いため、今後のメンテナンス面での不安もない。

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チューダーが製品保証期間を最大5年間に延長

チューダーは、国内および海外の正規販売店で購入された製品の保証期間の延長を発表した。延長される保証期間は購入日によって異なり、2018年7月1日〜19年12月31日までに購入されたものは保証期間が3年6カ月間となり、20年1月1日以降に購入されたものは、保証期間が5年間となる。ただし、18年7月1日より前に購入されたものは保証期間延長の対象外であり、従来通り2年間の保証である。

チューダーが保証期間を延長



ついにチューダーも保証期間の延長を発表した。製品の品質や修理体制が十分でなければ、保証期間の延長に踏み切ることは難しい。カルティエ 時計 新作今回の発表は、現オーナーにとっても将来のオーナーにとってもうれしいニュースだ。
ブランドフィロソフィー「BORN TO DARE」を体現するチューダーの新たな挑戦
 ここ数年、多くの有名ブランドを中心に保証期間の延長が発表された。チューダーの兄弟ブランドであるロレックスは2015年に従来2年間であった保証期間を5年間に延長することを発表した。直近では、IWCが保証期間を2年間から8年間へ延長することを発表している。

 このような施策を打ち出したブランドの多くに共通することが、新たな自社製ムーブメントの開発だ。新規開発されたムーブメントの品質は、消費者にとって未知数である。特に新しい素材や機構を用いたムーブメントには、ファンが不安を覚える場合もあるだろう。保証期間の延長は、ブランドとオーナーの関係性をより長いものとするとともに、その不安を払拭するという面もあるのではないかと考えられる。

 チューダーに関しても16年に初の自社製ムーブメントを開発し、それまで採用していた汎用ムーブメントから大きくスペックを向上させた。チューダーは今回の保証期間延長という一手を打ち出すことで、自社製ムーブメントの品質への自信を示しているのではないだろうか。


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イタリア解放75周年を記念したジュリアーノ・マッツォーリ「マノメトロ・イタリア」

1945年4月にイタリアがファシズムとナチズムから解放されてから75 周年を迎えた。このイタリア解放75周年と自由なイタリアを祝し、同時にコロナ禍の中で奮闘する人々にエールを送るために、ジュリアーノ・マッツォーリは、限定モデル「マノメトロ・イタリア」を発表した。



アラビアン・インデックスのダイアルカラーは、ホワイトまたはブラック。時分針にはスーパールミノーバ、先端がアローシェイプの秒針は、赤く仕上げられた。頑丈なシリンダー型のケースは、スティールとイタリア国旗のカラーで仕上げたエポキシ樹脂製である。ムーブメントは、スイス製自動巻き(Cal.ETA2824-2)を搭載。ストラップはハンドメイドのトスカーナ製で、ホワイトまたはブラックを選択することができる。



ウォッチメイキングの世界で10 年以上の歴史を持つジュリアーノ・マッツォーリの創造性は、デザインへの情熱と、すべてのモデルを特徴づけるクラフトマンシップを組み合わされたアイデアによって常に刺激されている。

コレクター垂涎。ルイ・エラールと独立時計師ヴィアネイ・ハルターのコラボレーションモデル

ルイ・エラールは、昨年から続くコラボレーションシリーズ第2弾として、独立時計師ヴィアネイ・ハルターが手掛けたモデルを発表した。両者を知る世界中の時計愛好家垂涎の1本になることは間違いないだろう。



コラボレーションした両者のいいとこ取りをした作品。セリタ製の汎用エボーシュを採用することで、この価格を実現した。


待望のコラボレーション第2弾
 2003年の再建以降、良質な時計を手に入れやすい価格帯で提供しているルイ・エラール。同社が19年から展開をスタートさせたコラボレーションシリーズは、同年に第1弾としてアラン・シルべスタインがデザインを手掛けたモデルを発表して話題となった。そして今年の第2弾はヴィアネイ・ハルターが起用された。

 ヴィアネイ・ハルターは、AHCI(アカデミー独立時計師協会)メンバーで独立時計師として名高い人物だ。1994年にムーブメントを開発する会社を設立し、独立時計師としてのキャリアをスタート。98年からは自身のコレクションを立ち上げ、特許を取得した数々の技術と独自のスタイルを築き上げてきた。デビュー作の「アンティコア パーペチュアルカレンダー」をはじめとする作品群は、既存のものとは一線を画するものだった。



ルイ・エラール×ヴィアネイ・ハルター「エクセレンス トリプティック レギュレーター リミテッド エディション」
自動巻き(Cal.SW266-1)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SS(直径42mm、厚さ12.25mm)。5気圧防水。限定178本。45万円(税別)。
 アラン・シルべスタイン同様、時計愛好家の注目を集めること間違いなしのコラボレーションを果たした今作は、ルイ・エラールのメインコレクションであるレギュレーターをベースとし、ヴィアネイ・ハルターの代表作である「クラシック」を彷彿とさせるデザインに仕上げられた。リベットが打ち込まれたようなリュウズや立体的な造形の文字盤、特徴的な形状のブルーカラーの針などから、ひと目でヴィアネイ・ハルター作だと分かる。

 セリタ製の汎用エボーシュをチューニングしたムーブメントを搭載して価格を抑えつつも、高名な独立時計師の意匠を感じ取ることができる今作。コレクターの新しい選択肢を広げる1本になるはずだ。


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